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オタクを沼に沈めるデザインの功罪、『ホグワーツ・レガシー』批評的感想

Comments (4)
  1. 羊谷知嘉 Chika Hitujiya says:

    くまきちさん、コメントありがとうございます。

    原作との兼ねあいから景観にヴァリエーションがつけにくいでしょうし、ゲームとしては(慣れているひとからしたら)「単調なおつかいオープンワールド」に落とし込んでいるのはたしかに残念ポイントでしたね。オープンフィールドの規模をもう少し縮小してホグワーツ/ホグズミードを中心にクエストを展開させてもよかったかなとは思います。

  2. くまきち says:

    ホグワーツ敷地内〜ホグズミードの探索は本当にワクワクして楽しかったけど、ひと通り歩き尽くして外の村に行くストーリーが増えると途端に発見が無くなって単調なおつかいオープンワールドと化したなぁ

  3. 羊谷知嘉 Chika Hitujiya says:

    092さん、興味深いご指摘ありがとうございます。僕も勉強になりました。
    結構説明がむずかしいのでひとつずつ話します。

    まず、ご指摘の部分、評価できるかできないかでいえば評価できます。D4βの批評記事を念頭においてのご指摘だとおもうので特に説明はしません。

    問題は、そこでも書いたのですが、プレイヤーの行動や選択によって NPC の会話が変化する、あるいはふえることは、20年前の RPG でもなされていたのでわりと「ふつう」だということです。ただし、その「ふつう」は古の RPG に親しんでいたり、その精神的後継として作られた CRPG というジャンルが好きなひとにとっての「ふつう」なので、世の多くのゲーマーにとっては「ふつう」ではありません。

    僕はあまり歴史には詳しくないですが、いわゆる RPG とされるジャンルにはあまりロールプレイングの要素が多くありません。それは、FF7 に代表されるシネマティックな物語が商業的に成功し、きわめて大きな影響を与えたことや、2000年代後半から2010年代半ばにかけてのHD画質に対応した開発費の高騰にあわせて市場が大きな家庭用ゲーム機向けの RPG が席巻したことが要因だと僕は理解しています。2010 年代半ばからはクラファンを利用した CRPG ルネッサンスが起きているのですが、日本語への翻訳があまり進んでいないこともあり、日本では一部の物好きが知っているにすぎません。

    ご指摘のウィーズリー先生への「振り返りイベ」も同様です。CRPG の多くではいちばん最後にプレイヤーキャラクターの選択と行動評価にもとづいたまとめがはいるので、このジャンルに慣れているひとにとっては「ふつう」なんですね。もっというとそれらに応じて各キャラクターがその後にどういう人生を歩んだかの各結末がエンディングで語られることが多いです。たとえば、箒絡みのチャレンジを全部回収していたら「主人公はハッフルパフのシーカーとして活躍し、複数のプロチームからのオファーを抱えている」とか、セバスのイベントで闇の魔術を推す選択をとっていたら「セバスチャンは卒業前にオミニスと果し合いをし、彼の血をサラザール・スリザリンの遺物に捧げて妹の病を解いた。しかし、その後の彼の行方は知るものはいない」とかですね。

    ですので、ご指摘の部分は僕にとっては「ふつう」なのであえて評価することはしませんでした。ですが、092さんのコメントを受けて、マス向けの作品として「振り返りイベ」が採り入れられたのはたしかに評価できるかもな?と思いなおしましたね。だからこそなおさら上記のような結末の分岐を作ってほしかったなという気持ちです。

    まあ、総じていろいろ惜しい作品だし、意欲的な作品だったとおもいます。

    コメントありがというございました。今後ともよろしくお願いします!

  4. 092 says:

    Diablo4の記事からこのサイトとホグワーツレガシーの記事を見つけ、内容の面白さに一気に読んでしまいました。
    私もホグワーツレガシーの発売を楽しみにしていた世界中のプレイヤーの1人で、実際にプレイしてみても、昨今のオープンワールドゲームで機能していたシステムを方々から採用し、うまくハリーポッターの世界観に落とし込んでいて感心しました。

    エンディングまでのゲーム体験は素晴らしいものでしたが、何か胸にモヤモヤした感情があるのも事実。そんな自分の分析が届かなかったところが、この記事によってやっと飲み込めたような気がします。特に、「意外性のない硬直した物語」の章は学びの多い部分でした。

    このゲームの「プレイヤーの行動に対するNPCの反応」について、もっと評価されてほしいと私は思います。
    例えば敵NPCなら、こちらが選んだ攻撃方法に対して反応を見せるセリフが用意されていました。かみかみ白菜を使えば「俺は野菜が嫌いなんだ」と毒づいたり、クエストの進行度によっては「君がヒッポグリフを盗んだホグワーツ生か」的なセリフもありました。
    ウィーズリー先生とこれまでの活動を振り返るイベントでは、先生にユニコーンの捕獲を褒められました。ユニコーンの捕獲はクエストラインにあるものではなく、ゲーム側からの誘導もありません。完全に私自身の自主的な活動でした。確かにこれらの反応は小さなものです。物語の分岐を変えてしまうような大きな変化ではありません。しかし、プレイヤーの細かな選択に対してゲーム側が発見し反応を示すこと、これは宝箱のような即物的な報酬に代わる、新たな形の報酬でした。これからのゲームにも積極的に導入してほしいアイデアです。

    思わず長文になってしまいました。
    ゲームに限らず羊谷さんの分析に興味が湧きましたので、他の記事も読んでみようと思います。
    これからも羊谷さんの記事を楽しみにしております。

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