重要追記(2023/12/19)
日本語版バルダーズ・ゲート 3 の発売にあわせて本作の解説&紹介記事を note に書きました。以下の記事をご覧ください。
本記事は 2020 年のアーリーアクセス版開始当初に書かれました。
種族選択のシステムは大きく変更されたため情報として古いです。バルダーズ・ゲート3ではこんな容姿のキャラクリが楽しめるよ!というポートレイトとしてお楽しみください。
(追記終わり)
サイバーパンクの最強の対抗馬
どうも、ゲーマー界最高のファッショニスタを自負する羊谷知嘉です。
先日、RPGファン待望の『バルダーズゲート3』のアーリーアクセスが異例の人気の高さで迎えられ、欧米のゲームメディアからは特にキャラクターメイキングの多様さから称賛を浴びています。
本作の人気の背景には先日の『ウェイストランド3』の批評記事で書いたようにCRPG再興の潮流があり、基本的には低予算でわりとマニアニックなサブジャンルを開発元の Larian がAAA級の映像表現で仕立て直したことで大きな注目を集めていました。
本記事では、アーリーアクセス版ということもあり、『バルダーズゲート3』のキャラメイクが何をどの程度出来そうか僕の作例とともに「解説」することで、CRPGに馴染みのないあなたにもその魅力を紹介するとともに今後の批評の土台にしたいと思います。
今後の批評とはつまり、12月上旬発売予定で、『ダンジョン&ドラゴンズ 第5版』をベースにした本作と同様に既存のTRPGが元にある CD Projekt の『サイバーパンク2077』ですね。
両作にはアイソメトリック視点のターン制コンバットと1人称視点のガンシューティングという比較困難な違いがありますが、TRPG由来の自由度の高いロールプレイに重きをおいたデジタルゲームとしては全く同じ線上にあり、キャラメイクは育成システムとともにその重要な根幹を成しています。
そのため、一見共通項のない両作も開発の成り立ちまでルーツを辿れば実は腹違いの兄弟のような関係にありますが、CRPGというサブジャンルが日本ではさほど馴染みがないせいで両作をロールプレイの観点から比較検討する「批評」は世に出回らないだろうという推測から、アーリーアクセス版ながらその下準備を本記事でしておこうと思った次第です。
なんにせよ、本作はメインストリームでの商業的成功を良くも悪くもハッキリと企図した作品なので、これを機により多くのひとがCRPGに魅力を感じてもらえたら幸いです。
なお、この記事は『Baldur’s Gate 3』Ver.4.1.85 でのプレイを元にし、あくまで微量の批評成分を含んだ解説&紹介を主眼としたものであり、各クラスの最強ビルド系攻略記事でないことは明記しておきます。
『バルダーズゲート3』は最大4人のパーティーを組んで冒険するRPG作品で、プレイヤーは主人公をいちから創るかプリメイドキャラクターを選ぶ(現在はキャラメイクのみ)必要があります。
Larian が前回開発した人気作『ディヴィニティ:オリジナル・シン2』も同様の数と仕組みでしたが、本作の原点である1998年発売の BioWare による『バルダーズゲート』は最大6人パーティーであり、近年リリースされたD&D系の最重要作『Pathfinder: Kingmaker』もまた同じ数なことを踏まえると、本作の最大4人パーティーは良くいえば無駄がなく、悪くいえば遊びがありません。
僕がプレイした限り、特定のスキルがないと進行不能になる場面はなく、Larian らしく戦闘にかなり重きをおいたコンテンツバランスで、チュートリアル終了後すぐに主要クラスのコンパニオン5人が仲間になるのであまり悩まず好きなキャラクターを作って良さそうです。
本作のキャラメイクの特徴は何といっても選択可能な種族の幅広さです。
人間やエルフ、ドワーフといった定番にくわえ、禍々しい風貌のティーフリングやギスヤンキといった比較的マイナーな種族までアーリーアクセスの段階から実装され 、現時点の総数は8つ、サブの亜種族まで含めると15のバリエーションがあります。
後述するように各種族にはさまざまな固有の能力補正とパッシブスキルが付くので、外見から入って適切なクラス(職業)を選ぶか、プレイしたいクラスから適切な種族を選ぶかはひとにより分かれるしょうから、まずはキャラメイクの基本である能力値をカンタンに説明します。
なお、本作はまだ日本語未対応なため、用語の和訳は『ダンジョン&ドラゴンズ プレイヤーズ・ハンドブック 第五版』に準拠します。
#baldursgate3 結局思うことがあって5回目の作り直し。主人公は容姿を神可愛く作れてカリスマ+2の種族補正が入るハーフエルフが板😋 pic.twitter.com/LN2THhTNYc
— 凍結の批評者、羊谷知嘉 (@ChikaHitujiya) October 8, 2020
- 筋力 Strenth: 肉体的な力の強さ
- 敏捷力 Dexterity: 動きの速さと正確さ
- 耐久力 Constituition: 耐え抜く力
- 知力 Intelligence: 思考と記憶
- 判断力 Wisdom: 知覚と洞察
- 魅力 Charism: 人格の力
筋力 Str は、筋力をベースとした近接武器などのヒット確率(攻撃ロール)とダメージ量に直結し、本作の最も重要な動きであるジャンプの距離とアイテムを持ち運ぶ荷重量に関わります。
一方、敏捷力 Dex は弓矢などの遠隔武器やダガーなどの妙技 Finesse という特性をもった近接武器のヒット確率(攻撃ロール)とダメージ量に直結するだけでなく、戦闘開始時のターン優先権(イニシアチブ)を決めるダイスロールと、敵の攻撃のヒット確率、正確には敵の攻撃ロールに対する対抗値のアーマークラス(通称AC)に関わります。
そのため、ウィザードのような後衛のクラスでは筋力を最低値にして他の能力向けにポイントを確保するのが定石ですが、前衛の近接専門のファイターでも敏捷力は筋力と同等かその次に高くポイントを割り振った方が良いでしょう。
耐久力 Con はそのままヒットポイントに関わります――前衛はこの値を上げて、後衛はこの値を下げて他の能力分のポイントを確保すべきなのはいうまでもありませんね。
最後に、知力 Int と判断力 Wis と魅力 Cha ですが、これは呪文を扱う各クラスの呪文発動能力になり、実装済みのクラスでいえば、クレリックは判断力、ウォーロックは魅力、ウィザードは知力に対応し、攻撃系呪文のヒット確率や阻害系呪文の効果の量や継続時間に直結します。
そのため、コンバットの有利不利だけを考えれば各クラスの呪文発動能力をいちばん高くし、ほかの2つを最低値にするのがいちばんステ振りの効率が良いですが(たとえばウィザードなら知力を最大にし、魅力と判断力を下げ、敏捷力や耐久力にポイントを割り振る)、戦闘中も含め、この3つは何かとダイスロールの判定に使われるので普通以下にすることはあまりお勧めしません。
特に魅力は非敵対的NPCの説得や交渉などに使われるので、ポイントに余裕があれば少しだけでも上げておきたいところです。
とまあ、最低限必要なことを書きましたが、本作ではプレイヤーが選んだ種族とクラスを加味して適切なステータス振りを提案してくれる機能もあるので、D&D系の作品に慣れていないひとはプレイしながら覚える流れでもだいじょうぶです。
最後に少し細かいことをいうと、本作のさまざまなダイスロールとその判定の計算に使用されるのは能力値それ自体ではなく、その横に+か-で表示される能力修正値ですので、自分でステ振りを考えたい方はこの修正値のプラスの値がより高く、マイナスがより低くなるように工夫するとより効率の良い割り振りができるでしょう。
では、本作の能力値の基本的な考え方を観たところですでに実装済みの種族を解説します。
物語の舞台となるフェイルーン大陸で最も一般的なのがこの種族。ほかの種族と比べて相対的に短命で、旺盛な野心家であり、適応力に富み、その文化や組織形態、道徳規範、外見的特徴も地域によりさまざまである。
【種族特徴】
- 筋力+1
- 敏捷力+1
- 耐久力+1
- 知力+1
- 判断力+1
- 魅力+1
- 移動速度9m
【制作メモ】
本作のスキルチェックはパーティ単位ではなく操作キャラクターなため、ヒューマンの種族特徴である全能力上昇は何かと多様なダイスロールを求められる主人公にはかなり美味しい。外見的にはフェイスがアジア系からアフリカ系まで現時点で8つ揃っており、僕が採用した顔は白人系のティーン風なため肌の色は白系にややピンクがかったものにし、髪型はオーセンティックなものではなくやや野性味を残したお洒落なものにあわせている。眼と鼻の造形の主張が強いため、髪と瞳と化粧の色合いは控えめな茶系に統一。結果的にジュヴナイルな印象を強く残した映画の主人公風の出来になった。制作難易度はかなり易しい。
ドワーフ
短躯ながら筋肉質な身体を誇るドワーフは勇敢でかつ頑健であり、長命な戦士や鉱夫、石細工や金細工の名称として知られ、精神的には忍耐強く、ときに強情で、氏族の伝統を重んじる。亜種族として、並々ならぬ頑丈さと深い洞察力を備えたヒル・ドワーフ Gold Dwarf と、険しい土地に慣れた剛力のマウンテン・ドワーフ Shield Dwarf が存在する。
【種族特徴】
- 耐久力+2
- 暗視:暗闇のなかでも12m以内を視認できる
- 移動速度7.5m
- ドワーフの毒耐性:毒に対するセーヴィング・スローに有利を得て、毒ダメージへの耐性を有する
- 武器の習熟:ハンドアックス、バトルアックス、ライト・ハンマー、ウォーハンマー
【ヒル・ドワーフ】
- 判断力+1
- 壮健なるドワーフ:最大HPが1増加し、レベルアップのたびにさらに1増加する
【マウンテン・ドワーフ】
- 筋力+2
- ドワーフの鎧訓練:軽装備と中装備の習熟
【制作メモ】
亜種族の能力上昇からクレリックかファイターにするのが無難か。現時点ではハーフエルフのクレリックであるシャドウハートが結構微妙な性能なので主人公としてクレリック職のドワーフは悪くない選択だろう。外見的にはいわゆる美男美女のフェイスが実装されていないのでやや難易度は高い。僕の場合、ユニークな顔立ちがなかったため、野蛮なドレッドヘアーに貴族風の整った髭をあわせる矛盾したアイデアから組み立てた。両者の異質さを緩和させるために髪の色はホワイトにし、肌の色も髪と髭を強調するために黄味がかったホワイト、瞳の色は全体を引き締めるためにワンポイントで赤を採用。額には謎めいた背景設定を匂わせるタトゥーをやや薄く入れた。イケオジ好きは僕の性癖です。
エルフ
優美さと繊細さを湛えた顔立ちで、ヒューマンよりもやや細身のエルフは魔法に馴染み深く、自然や芸術、詩、音楽をこよなく愛し、ドワーフとは対照的に自他の自由と多様性、自己表現を尊重する。亜種族として赤銅色の肌と鋭敏な知覚能力をもったウッドエルフとより知力に長けて魔法の基礎を修めたハイエルフが存在する。
【種族特徴】
- 敏捷力+2
- 暗視
- 鋭敏感覚:〈知覚〉技能の習熟を得る
- フェイの血筋:魅了状態をもたらす効果へのセーヴィングスローに有利を持ち、魔法で眠らされることがない
- 武器の習熟:ロングソード、ショートソード、ロングボウ、ショートボウ
【ハイ・エルフ】
- 知力+1
- 移動速度9m
- 初級呪文:ウィザード呪文リストから選択した1種類の初級呪文を習得
【ウッド・エルフ】
- 判断力+1
- 移動速度10.5m
- 自然隠れ:〈ステルス〉の習熟を得る
【制作メモ】
コンパニオンにローグ職でハイエルフのアスタリオンがいるので、判断力を呪文発動能力として使うドルイドが選択可能なクラスに実装されていない現時点ではハイ・エルフのウィザード、ウッド・エルフのレンジャーが安定か。外見的には男女ともにフェイスが原人じみたものばかりで、顔立ちを洗練させるのはかなり骨が折れる。僕の場合、いちばん無難な顔を採用したため、濃紺色のややキツいアイメイクをこの人物のシグネイチャーにするところから組み立てた。髪型は知性を感じさせるものにし、髪色をアイメイクと同系色にしながらやや薄くて明るい色合いにすることで目許の印象を調和を保ちながら際立たせ、年齢不詳な神秘性を演出している。また、頸筋の白色のタトゥーはこの人物が独特な共同体で相応の地位にいることを伺わせる。ある意味でいちばん苦労した。
ドラウ
ドラウ、またはダーク・エルフは元を辿れば蜘蛛の女神ロルスの導きに従い悪と腐敗の道に入り込んだ黒曜の肌と白髪のエルフの亜種族。地下世界アンダーダークの深みに堕落した独自の文明社会を築いたが、地上世界の住人からはひとりの名高い例外を除いて酷く恐れられ、忌み嫌われている。本作ではエルフとは独立した種族として扱われ、亜種族としてロルスに誓いを立てたドラウ Lorth-Sworn Drow と、ロルスとの抗争解決のために仲間を探し求めるセルダライン・ドラウ Seldarine Draw の2つが選べるが、ステータス上の違いはない。
【種族特徴】
- 敏捷力+2
- 魅力+1
- フェイの血筋
- 上級暗視:暗闇のなかでも24m以内を視認できる
- 初級呪文:ダンシングライツの習得
- 移動速度9m
- 武器の習熟:レイピア、ショードソード、ハンド・クロスボウ
【制作メモ】
残念ながら、ドラウ固有の特性である上級暗視がどこまで有用かはチャプター1のみがプレイ可能な現時点ではまだ未知数だ。外見的には意外と顔立ちの整ったフェイスが揃っており、美男美女を作るという意味では難易度はかなり易しい。僕の場合、中東地域を彷彿とさせる彫りが深く端正な顔立ちを採用したため、肌の色をダークエルフのなかでも濃さと暗さがやや強いものにし、瞳の色もそれにあわせて暗赤色を選択。髪の色は肌にあわせて華やかさと気品の高さを出すため白に近い灰色に。いちばん悩んだのが髪型だったが、ドラウの背景設定と全体的な女性らしさの兼ね合いからゆるいドレッドとパーマのはいった野性味が強いスタイルに落ち着いた。力作である。
ハーフエルフ
エルフとヒューマン双方の優れた資質――前者の優美さと洗練された感覚、後者の好奇心と独創性を受け継ぎながらも両者に属しきらない、あるいは両者の世界に属するのがこの種族。その出自故に社交術と交渉能力、使い様によっては詐欺の手練手管に通じ、だれに対してもその敵意を和らげ、共通の立場を見出し、うまくやることに長けている。
【種族特徴】
- 魅力+2
- 任意の能力値上昇
- フェイの血筋
- 暗視
【ハイ・ハーフエルフ】
- 種族速度9m
- 初級呪文:ウィザード呪文リストから選択した1種類の初級呪文を習得
【ウッド・ハーフエルフ】
- 種族速度10.5m
- 自然隠れ
【ドラウ・ハーフエルフ】
- 種族速度9m
- 初級呪文:ダンシング・ライツの習得
【制作メモ】
エルフと人間の美点を受け継いだことによる魅力+2と任意の能力に2ポイント割り振れる種族特性は、戦闘特化とはいいがたいが主人公向けといえる。外見的にもかなり造形の美しいフェイスが揃っているためオススメ度はかなり高い。僕の場合、下顎がしっかりした顔を選んだため、全体のバランスを整えるためにアイメイクを柔和ながらも濃くするところから組み立てた。髪型は顔の造形の良さを引きたてるシンプルなショートにし(というか、僕の「ヒューマン」の少女同様、顔の印象がここまで強いと良くも悪くも個性的な髪型が似合わない)、髪色は肌にあわせた限りなく白に近い灰色に薄く茶を入れたもので全体の統一感を醸した。瞳の色は気品の高さを示しながらもやや独特なもにし、特徴付けとして目許にワンポイントのタトゥーを入れた。安定の一作。
ハーフリング
平和と団欒を愛する小柄なハーフリングは陽気で優しく好奇心旺盛なことで知られている。友達にはその種族が何であれ誠実さをもって接し、身内や共同体が危機に晒されると驚くべき勇猛さを見せるが、普段はその体躯を活かし、虚栄心や野望と無縁なこともあいまり悪目立ちすることがない。亜種族として放浪癖がやや強いライトフット・ハーフリングと、平均よりも頑丈で毒に強いストロングハート(またはスタウト)・ハーフリングが存在する。
【種族特徴】
- 敏捷力+2
- ハーフリングの幸運:攻撃ロール、アビリティチェック、セーヴィングスローで1の目を出したときもう1度ダイスロールし、新しくでた目の数字を使う
【ライトフット・ハーフリング】
- 魅力+1
- 種族速度7.5m
- 隠密の天性:〈ステルス〉の習熟を有する
【ストロングハート・ハーフリング】
- 耐久力+1
- 種族速度7.5m
- スタウトの毒耐性:毒に対するセーヴィング・スローに有利を得て、毒ダメージへの耐性を有する
【制作メモ】
現在の4人パーティー制ではコンパニオンのアスタリオンを外すならばハーフリングでローグ職の主人公はひとつの選択肢になりそうだ。外見的には、ハーフリングという種族が小柄でお腹に丸みを帯びた種族である以上、美男美女を納得のいくレベルで作ろうとするとやや難しい。男性は特にそうで、僕の場合は古傷だらけのフェイスモデルを活かしたイケオジ的な格好良さを追求するところから組み立てた。年齢からすると意外性のある奇抜な髪型で新鮮な印象を作り、清潔感のある短く揃えられた髭をあわせることで個性に奥行きを与えた。また、暗褐色のアイメイクで眼窩の窪みを作り、百戦錬磨な雰囲気を演出する一方で、小鳥のタトゥーをチャームポイントとして入れた。結果、最近のFFシリーズのメンター役にいそうな(そしてすぐ死ぬ)イケオジが爆誕した。
ティーフリング
何世代も前の契約により地獄の血族の精髄をその身に宿したティーフリングは、額の大きな角と太い尾、鋭利な犬歯やさまざまな朱い肌という際立った外見的特徴から世間では酷く忌み嫌われ、都市のスラムや漂白の旅のうちに暮らす。本作では契約者であるデビルの違いとして、最高支配者アスモデウス、飽くなき矛盾メフィストフェレス、火炎の翼ザリエルの亜種族を選ぶことができ、初級呪文と特徴が異なる。
【種族特徴】
- 暗視
- 移動速度9m
- 地獄の抵抗力:火ダメージへの耐性を持ち、ダメージ量を半減させる
【アスモデウス・ティーフリング】
- 魅力+2
- 知力+1
- 初級呪文:ソーマタージの習得
【メフィストフェレス・ティーフリング】
- 魅力+2
- 知力+1
- 初級呪文:メイジ・ハンドの習得
【ザリエル・ティーフリング】
- 魅力+2
- 筋力+1
- 初級呪文:ソーマタージの習得
【制作メモ】
ウォーロック職のためのような能力上昇のため、コンパニオンである人間のウォーロック職のウィルを外すならばアスモデウス・ティーフリングが主人公の選択肢になるか。外見的には、この種族の肌色にこだわった上で美男美女を作るのはかなり難しい。僕の場合、肌の色を黒に寄せ過ぎるとポリコレ的にマズかったため、異種族感を演出する赤の色合いをギリギリ残しながらアフリカンとして馴染みのある肌色に調整することからはじめた。半分は僕の趣味だが、ツーブロックに刈り込んだドレッドヘアーにかなり豪快?な髭をあわせ、種族特有の角に横に広がりのあるものを採用することで全体のプロポーションを整えた。また、雰囲気の強さに対して顔の印象がかなり薄くアンバランスだったため、白の派手なタトゥーを入れるとともに黄金色のデモニックな瞳をワンポイントに採用して全体の印象を引き締めた。自信作。
ギスヤンキ
ギスヤンキは、本作の悪役でもある蛸頭の精神操作者マインドフレイヤーに長きにわたり隷属し、人体改造され、ギスという名の同族の指導者によって奴隷の軛を脱することに成功した戦士たちの末裔だ。武装蜂起から1万年以上が経緯した今もマインドフレイヤーへの終わりなき征討軍として深い憎悪と復讐のうちに生き、本作のオープニングは主人公及びコンパニオンらを誘拐したマインドフレイヤーの飛行船を彼らが襲撃する場面からはじまる。
【種族特徴】
- 筋力+2
- 知力+1
- 移動速度9m
- 武器の習熟:ショートソード、ロングソード、グレートソード
- ギスヤンキの鎧訓練:軽装備、中装備
- ギスヤンキのサイオニック:メイジ・ハンドの習得
【制作メモ】
ギスヤンキもきわめてファイター向けの種族特徴なため、ティーフリングと同様、ギスヤンキでファイターの Lae’zel をパーティーから外すなら主人公の種族選択の視野に入るだろう。外見的には緑系統の肌の色をもち、鼻がひらべったく、昆虫めいた印象を与える風貌なため一見美男美女を作るのは難しいように思えたが、用意されているフェイスがいずれも整った顔立ちなため思いのほか難易度は高くない。僕の場合、目鼻立ちがハッキリしている分、眼元より下がやや間延びした印象を与えるフェイスモデルに涙袋を思わせる独特なアイメイクをあわせ、種族特有の黒い斑点模様を相対的に目立たせなくするところから組み立てた。肌はやや濃いオリーブ色にして全体の印象を引き締め、女性らしさを過度に強調しないものにすることで絶妙な異種族の美しさを作ることに成功した。結論、美は作るもの。
ちなみに左は人間の女の子で、地味ながら会心の出来で気に入っている。映画のジュヴナイルな主人公感が凄い。 pic.twitter.com/Vk0LjPHPtT
— 凍結の批評者、羊谷知嘉 (@ChikaHitujiya) October 27, 2020
いかがだったでしょうか。
正直、記事執筆のために調べるまでは海外メディアが騒ぐほどのカスタム性はないと思っていましたが、各種族の選択可能なフェイスが4〜6つという少ない印象に反し、種族毎のプールが結構違うので意外と幅の広いメイキングが楽しめます。
まあ、僕のようなヴィジュアルガチ勢はそう多くないでしょうから、カラーバリエーションで多様さと複雑さを確保しつつ、選択肢を制限することで各種族のアイデンティティを保ちながらユーザーの利便性も高めているのでしょう。
実際、キャラクタークリエイションで最も人気の選択はデフォルト同然のものだったと開発から以前報告がありました。
思えば、近年のGOTYを狙える大作の人気RPGではキャラメイクに多少ともこだわれる作品はほとんどありませんでした。
今年であれば『Ghost of Tsushima』や以前批評を書いた『Last of Us Part 2』、去年であれば『Sekiro: Shadow Die Twice』や『Control』、『Death Stranding』がそうですが、いずれも主人公の外見やアイデンティティが作品側でキチンと決められているものばかりです――CRPG界隈では名の知られた開発である老舗 Obsidian の『The Outer Worlds』はなかったことでお願い申し上げます。
とはいえ、本作のキャラメイクに明確な難点があるのもまた事実です。
まず、装備品の外見表示のオンオフが切り替えられずカラーリングなどのカスタマイズができないこと、お化粧として唇やチークに色を差せないこと、そして、クラスと成長要素にも関わりますが、4人制パーティーなためロールプレイの遊びを入れる余地がきわめて少ないことです――この点はクラス編でより深く検討しましょう。
まあ、本作も『ディヴィニティ:オリジナル・シン2』のようにコンパニオンを仲間に加える際にクラス選択ができるようになる可能性もありますが、それはそれで、プリメイドキャラクターの背景と物語の必然性としてどうなんだと思わなくもないですが。
なんにせよ、『バルダーズ・ゲート3』はいまだアーリーアクセス版であり、『サイバーパンク2077』のリリースが12月初めまで遅れ、来年のGOTY獲得を本格派RPGの両作が争うことが決まりました。
世界中のゲーマーが期待に胸を膨らませている『サイバーパンク2077』の強力な対抗馬として本作がその名を轟かせるのは時間の問題でしょうから、世界の動向に興味があるひとは今から本作をフォローしはじめるのも悪くないでしょう。