8月31日堂々開幕!
どうも、ヴァロラントは実際にプレイするより VCT を観戦している時間の方が長そうな僕です。
マスターズ・ステージ1で日本代表 ZETA DIVISION がトップ4進出という日本FPS史上の歴史的快挙を成し遂げ、国内最高同接数約41万人という大記録を打ち立てたのもつかのま、われらが ZETA がふたたび世界の舞台に姿をみせるときが近付いてきました。
グループBは、南米のトップチーム LOUD と北米のトップチーム OpTic のどちらかに勝つことがプレイオフ進出の最低条件となるまがうことなき死のグループ。
ZETA が勝っても負けてもこの3週間におよぶ競技シーンの集大成をみんなで楽しむべく、出場全16チームのかんたんな解説とみどころ紹介を僕の独断と偏見でまとめてみました。
個人的な優勝候補筆頭はまず、Fnatic、そこに FPX と Paper Rex が参戦し、ダークホースとして EDG と ZETA がどうかき回してくれるかに期待、といったところ。OpTic はそろそろ体力と集中力が厳しくなってくるんじゃないかな。
世界には ZETA 以外にも魅力的な選手・チームがたくさんあります。
かれらの顔を見て、物語を知り、プレイングを観ることで、世界各地に推しの選手あるいはコーチを見つけて来年から大幅拡大するヴァロラントの競技シーンをより一層楽しめたらいいですね。
では、どうぞ!
mindfreak
f0rsakeN
Benkai ★
d4v41
Jinggg
alecks (Coach)
Paper Rex は今年のアジアでもっとも高い成績をおさめたシンガポールのチーム。
マスターズ・ステージ1ではアジア対決となった ZETA に屈して4位に甘んじたものの、ステージ2では今大会のダークホースとして Fnatic と OpTic という優勝候補の強豪チームをなぎ倒して2位に輝いた。ZETA とならび、NA vs EMEA という去年の構図に対して今年のアジアシーン躍進の印象を深く残した。
Paper Rex といえば、世界でただひとりヨルのピックを許された男 f0rsakeN と、土下座中の KAY/O にお尻を擦り付けるという異次元の煽り芸を披露した Jinggg の凶悪な歯茎むきだしデュオだ。このふたりが積極的にエリアを詰めて敵を倒しにいくのに対し、mindfreak と Benkai と d4v41 のサポート3人が彼らの作ったエリアや人数差をきちんと真顔で甘えずに守るのが好対照なチーム。クリエィティブなプレイングを常に心がけているという本人たちの言葉どおり、前回大会ではその変則的なプレイスタイルで視聴者を魅了しながら世界の強豪チームを手玉にとった。
シンガポールでは18歳以上の男子には通常2年間の兵役が課されるため Jinggg は今年で現役を退くのではという懸念が一時期広まったが、本人はその後に配信内で否定。チャンピオンズではアジアチーム初の優勝に期待がかかる。
Edward Gaming
Haodong
Life
CHICHOO
nobody
ZmjiKK
Abo (Substitute)
Smoggy (Substitute)
AfteR (Coach)
Muggle (Coach)
EDG は LCQ 東アジアを1マップも落とすことなく勝ち抜いた中国(上海)のチーム。
中国地域の初参戦となった今度の LCQ では、マスターズに出場経験のある日本代表の Northeption や韓国代表の On Sla2ers に圧巻のパフォーマンスで勝利してチャンピオンズへの切符を獲得した。準備期間の少なさから当日のパフォーマンス面に懸念は残るものの、先日の LCQ を観ていたひとなら EDG が今大会のダークホースとして世界を驚かすことを確信しているはずだ。
EDG の強みはなんといってもスターティングメンバーの5人全員が不利な状況を一瞬で覆せるエース級の撃ち合いの強さを誇ることだが、あえて挙げるなら ZmjjKK のオペレーターと nobody の生存能力の高さ、そして、CHICHOO の少人数戦の強さだろうか。エリアコントロールよりも密度の高い連携力ですばやく敵を薙ぎ倒して人数有利に持ちこむ撃ち合いを重視したプレイスタイルは、同じく攻撃的なプレイスタイルで知られる Paper Rex や FunPlus Phoenix ともことなり面白い。また、エコラウンドで ZmjjKK にだけオペレーターをもたせたヒーローバイで勝負に挑むなどセオリーにとらわれない戦術が世界の強豪チームを相手にどこまで通用するか注目が集まる。大会初戦を飾る Paper Rex とのマッチアップはある意味でグランドファイナルと同じくらいヒートアップすること間違いなし。
EDG は昨年末の League of Legends の世界大会 Worlds 2021 に優勝したことで知られる。ライアットゲームズの人気2タイトル制覇に期待がかかる。
Leviatán
adverso
kiNgg ★
Melser
Tacolilla
Shyy
Onur (Coach)
BeTony (Assistant Coach)
Leviatán はブラジルの LOUD をのぞいた南アメリカで最も多くのサーキットポイントを集めたアルゼンチンのチーム。
今年2月に去年のチャンピオンズで KRÜ を4位に導いた Onur コーチの獲得を発表し、つづく5月には彼と KRU の躍進を支えた BeTony コーチの獲得も発表。ステージ2では LATAM 大会決勝でその KRÜ をストレート勝ちで破った。マスターズでは DRX と Fnatic に破れはしたものの、北アメリカ大会1位通過の XSET を敗退に追いやり存在感を示した。
Leviatán の特徴はメンバー全員がとても自信をもって強気にプレイするところだ。そのため、防衛時にはかなり前めで戦線を張り敵に多くのスキルを消費させることでラウンド獲得に繋げているが、その反面、攻撃時には味方のカヴァー範囲を越えてフリーキルをとられる場面も少なくない。その塩梅をどのように調整してくるかがチャンピオンズでの鍵となる。Leviatán の武器はチェンバー専業の Tacolilla で、パフォーマンスに波はあるものの、アングルアドバンテージを活かして敵の腕を一方的に狙撃するシーンやサイト内で敵に囲まれながらもヘッドハンターで状況をまたたくまに覆すシーンを何度も見せた。また、コントローラーの Melser が劣勢の少人数戦でも重要なキルを重ねてチームを救っていたことも見過ごせない。
KRÜ の代名詞である Vamos!! コールはアルゼンチンの Leviatán ももちろん使用。選手よりも情熱的に感情をからだで表現する Onur と BeTony 両コーチのパフォーマンス?に目が離せない。
Team Liquid
soulcas
ScreaM ★
Jamppi
Nivera
dimasick
eMIL (Head Coach)
7Teen (Coach)
Liquid は e-sports シーンの黎明期から活躍する最古参の名門チーム。
今年のステージ1ではマスターズに出場し、グループステージで OpTic を下して1位通過するもプレイオフで LOUD と ZETA に負けて敗退。ステージ2では EMEA 大会で敗れるが、元 FPX の dimasick とヘッドコーチとして eMIL を迎えて LCQ を見事勝ち抜いた。
Liquid はなんといってもハイセンシながらヘッドショットマシーンの異名をとる ScreaM が有名でファンもかなり多い。もともとレイナを自分自身と称するほどこよなく愛することで知られていたが、最近の公式戦ではジェットやレイズの義務ピックが目立つ。しかし、LCQ のアセントでまさかのフェニックスをピック。ULT のラン・イット・バックで3キルをもぎとるなどその攻撃的なスタイルは健在だ。もっとも、僕が観ただけでもブラストパックでピークするも味方のセージ壁に激突したり、カーブボールが味方全員に誤爆して 3 on 3 に負けるなどおちゃめなプレイも多いのが ScreaM の魅力。
ちなみに Nivera は ScreaM の年の離れた弟で、ブラザーバフのかかった彼は初の公式戦ファーストラウンドをエースで飾っている。今回の LCQ では チェンバー役の Jammpi にオペレーターを譲る場面が多かったが Nivera 自身もオペの名手だ。ちなみに eMIL コーチと FPX の d00mbr0s コーチはうりふたつな双子の兄弟。今大会の Liquid はブラザーバフで勝負に出る。
OpTic Gaming
FNS ★
Victor
crashies
yay
Marved
Chet (Coach)
OpTic は今年最もサーキットポイントを獲得した名実ともに世界最高のチーム。
マスターズ・ステージ1では2位の LOUD に圧倒的な力を見せつけて見事優勝し、前人未到の大会連覇の期待がかかるステージ2だったが、勝者ブラケットのファイナルではまさかの Paper Rex に敗北、つづく敗者ブラケットのファイナルでは底から這い上がってきた FPX にラウンド差をつけられて敗北した。
エル・ディアブロ(悪魔)と畏れられる yay のオペレーターさばきもさることながら、ステージ1では ZETA の SugerZ3ro や DRX の MAKO とならび、卓越した立ち回りと撃ち合いの強さで Marved がチームの窮地を何度も救うことでコントローラーに求められるフィジカルの水準を大きく引き上げたことで知られる。また、crashies はアメリカ屈指のサポートと名高く、優勝したマスターズステージ1では IGL を務める FNS の読みの鋭さが光った。個人的には世界の競技シーンでいちはやく Victor にネオン採用させていたことが印象深く、今大会の新しいマップ・環境でどのような戦略を用意してくるか楽しみだ。
そんな OpTic だが、ステージ1、2ともに北アメリカ大会を2位通過するなどスロースターターでも知られる。それは同時に、国際大会でつねにトップ争いを続けることの体力的・気力的な苦しさを物語っており、チャンピオンズでの活躍は選手以上に組織のマネジメント力にかかっているかもしれない。
Boom Esports
blaZek1ng
fl1pzjder ★
BerserX
Tehbotol
famouz
meow (Coach)
BME は LCQ APAC を勝者ブラケットで勝ち抜いたインドネシアのチーム。
Paper Rex や XERXIA といった APAC の強豪に阻まれてマスターズへの出場は叶わたかったものの、7月にレイズとイニシエーターを得意とする Famouz を新メンバーに迎えて挑んだ LCQ では見事全勝を果たしてチャンピオンズへの出場権を獲得した。
BME は、セットプレイや個々の撃ち合いよりも相手の人数配置の読みに長け、可能なかぎり有利な状況を作ることを得意とするチームだ。特に、防衛時にときおり見せるのがセンチネル役の fl1pzjder に片方のサイトとミッドを任せた4スタックで、嚙み合えば相手のエントリーを4人で潰し、噛み合わなくとも最小限の被害ですぐに4人でのリテイクに持ち込める。もちろんその要になるのがスコアに表れない fl1pzjder の立ち回りと撃ち合いの強さだ。その意味ではイニシエーター役の blaZek1ng もまた重要なキルをあげられるプレイヤーのひとりだろう。もっとも、チャンピオンズで勝ち上がるにはどんな戦術を好もうとも相手の作戦を壊したり不利状況を覆せるフィジカルの強さが前提になるので、本戦までに個々のパフォーマンスとカヴァーの連携力をどこまで上げられるかが BME の勝利の鍵となる。
ちなみに BME は Dota 2 の世界的な強豪チームでもある。その戦術的なノウハウが Valorant 部門のマクロな戦術に活かされている、かもしれない。
ZETA DIVISION
Laz ★
crow
Dep
SugerZ3ro
Xdll
XQQ (Coach)
JUNiOR (Coach)
ZETA は人気実力ともに国内最高の日本のチーム。
マスターズステージ1では、大会最弱という識者の見立てを裏切り、グループステージとプレイオフともに敗者ブラケットから奇跡のカムバックを果たして3位に輝き、世界中に NICE ブームを巻き起こした。ステージ2の国内大会ではパフォーマンスの悪さから Northeption にまさかの敗退。チャンピオンズではその雪辱を晴らしにいく。
Laz と SugerZ3ro は世界からも評価が高いプレイヤーで、特に Laz はエコラウンドでも積極的にワンピックを狙って敵の武器を回収するチェンバーでの凶悪さが、SugerZ3ro は Northeption 時代にアストラメタになる前からこのエージェントで活躍して国内シーンのメタを決定付けたのが有名か。先日公開された yay のインタビュー動画で SugerZ3ro を世界屈指のコントローラーとして日本の注目選手に挙げていたことも記憶に新しい。Dep はエージェントプールの広さと不利な状況を覆す爆発的な撃ち合いの強さが持ち味で、完璧なスキルの入れ方で仕事をこなす Crow がつねに縁の下からチームを支えている。チャンピオンズでは、網膜疾患により療養を余儀なくされた TENNN に代わり Scarz 所属の Xdll が代役でプレイする見通しだ。
パフォーマンスに波はあったものの、ステージ1、ステージ2ともに Blue Bees で活躍した Xdll は弱冠16歳のホープで、このチャンピオンズが初のオフライン大会になる。ロースター変更したチームをどうまとめ上げ、どのようにパフォーマンスを高めてくるか組織全体でのマネジメント力が鍵になる。
LOUD
aspas
Less
pANcada
saadhak ★
Sacy
bzkA (Coach)
LOUD は南アメリカで最も多くのサーキットポイントを集めたブラジルのチーム。ZETA の初戦の相手。
ステージ1のマスターズでは2位の栄光を掴んだものの、ステージ2では死のグループに入り、初戦の KRÜ にまさかの敗北。つづく敗者ブラケットでは前回覇者 OpTic とあたり、皮肉にもグランドファイナルの再演となったがまたしても敗北を喫して姿を消した。今回のチャンピオンズで ZETA がプレイオフに駒を進めるにはこの LOUD か Optic のどちらかに勝つことが最低条件となる。
それぞれが高い撃ち合いの能力をもち、マスターズ・ステージ1準優勝の栄光は伊達ではない隙のなさをもっている。ステージ2でのパフォーマンスはかならずしも良くなかったものの、エースプレイヤーである aspas はその片鱗を見せる印象的なプレイをいくつも残している。また、日本でもお馴染みの saadhak によるキャラクターコントロールと生存能力の高さを活かした大胆な立ち回りも見どころのひとつか。そして、Team Vikings の頃からともに縁の下からチームを支えてきた、League of Legends 出身の偉大なるプレイヤー Sacy。世界のベストソーヴァのひとりにも数えられる彼の少人数戦の強さは圧巻のひとことだ。しかし、ステージ2ではその存在感が薄れてしまっていたことも事実で、現在のイニシエーター環境に Sacy がどのように適応してくるかが LOUD 戦の鍵となりそうだ。
もともとチームの照準はチャンピオンズに合わせていると公言していた LOUD。ステージ2ではまさかのグループステージ敗退に甘んじたその真の実力が ZETA に牙を剥く。
FunPlus Phoenix
ANGE1 ★
Shao
Zyppan
SUYGETSU
ardiis
d00mbr0s (Coach)
FPX はロシア・北欧出身のメンバーが中心のチームで、今年のマスターズ・ステージ2覇者。
ステージ1ではEMEA大会を1位通過でマスターズの出場権を獲得したものの、ウクライナ出身の Ange1、ロシア出身の Shao と SUYGETSU を擁するため、国際情勢の悪化による出国規制に妨げられて大会出場を見送らざるをえなかった。ステージ2では SUYGETSU のビザが遅れてプレイオフからの参加になったものの、FPX のコアメンバーとして圧巻のパフォーマンスを披露して敗者ブラケットからの劇的な優勝を成し遂げた。
ardiis と Zyppan の安定したワンピック力の高さ、Shao と SUYGETSU の驚くべきクラッチプレイの連続、Ange1 のコントローラーらしからぬ強気なドライピークからのファーストブラッド(あるいはファーストデス)など、瞬間的なパフォーマンスの高さとセオリーを越えたスーパープレイを次々と生みだして世界を驚かせた。特に、優勝を決めたブリーズでの最終ラウンド、 SUYGETSU が見せた人数不利からのクアドラキルはヴァロラントの競技シーンに燦然と輝き続ける美しさだった。日本の常識とは戦略戦術ともに違うため、Paper Rex と EDG とならんでもっとも観戦していて楽しいのがこのチーム。チャンピオンズでも優勝候補の一角に挙げられるが、やはりビザ関係の渡航の可否がゆいいつの懸念材料か。
ちなみに IGL の Ange1 は今月33歳を迎える。年齢はただの数字定期。
KRÜ Esports
Klaus ★
Mazino
NagZ
delz1k
keznit
Leazo (Coach)
KRÜ はチリ出身のメンバーを中心に構成された南アメリカ代表のチーム。
国際大会の常連チームである KRÜ だが、昨年のチャンピオンズで4位に導いたお馴染みの Onur コーチが移籍してからはいずれのマスターズでもプレイオフ進出を果たせていない。今回のチャンピオンズでもサーキットポイントによる出場権を Onur コーチの移籍先である Leviatán に譲ったものの、LCQ 南アメリカでは2位通過の Furia にストレート勝ちしてチャンピオンズへの切符を掴んだ。
KRÜ といえば絶対的エースの狂犬 Keznit で、得意エージェントであるレイズでのプレイスタイルは凶悪そのもの。チャンピオンズ進出を賭けた Furia 戦では3マップを通してファーストブラッド数16、ファーストデス数13という数字で、重要なキルとエリア取得を重ね続けた。もっとも、以前はやや Keznit 頼みな面も否めなかったが、LCQ では丁寧にスキルを使って無茶をしすぎない動きがチームに見受けれたのは興味深い変化か。また、昨年はジェットを使用してきた NagZet はメタの変化にあわせてチェンバーに専念し、不安定気味だったパフォーマンスに安定をもたらしている。敵の位置予測の精度が高い Mazino の立ち回りの巧さも要注目。
LCQ のアッパーファイナルでは有観客のオフラインイベントを実施。完全アウェーな応援席に囲まれてのプレイ経験はチャンピオンズでも活きるだろう。ちなみに KRÜ の創設者は元サッカー選手でアルゼンチン代表のセルヒオ・アグエロ。
XSET
AYRIN
Bcj
dephh ★
zekken
Cryocells
SyykoNT (Coach)
XSET は群雄割拠の北アメリカにおいて OpTic の次に高成績をおさめたチーム。
ステージ2の北米大会では1度敗れた OpTic にグランドファイナルでリベンジを果たして見事1位通過を決めた。しかし、マスターズではプレーオフからの出場ではあるものの、3度目の正直として OpTic に完敗し、敗者ブラケットでは Leviatán に接戦の末敗北した。皮肉なことに、OpTic 以外の北米チームは今年のマスターズではまだ勝ち星を挙げられてなく、XSET には NA=Near Airport という屈辱的なミームの払拭に期待がかかる。
XSET でいちばん有名なのは配信者としても人気が高く Mr. 4 Kill の愛称で親しまれている Cryosells だろう。Leviatán 戦では Ace チャンスのかかった Tacolilla とのチェンバー対決が勃発し、視聴者の期待を裏切らない?結末に Leviatán メンバー総出による手痛い煽りを浴びた。もっとも、パフォーマンスの安定力はあきらかに Tacolilla 以上で、OpTic の yay にも引けをとらないその実力はトップクラスの折り紙付き。また、チームのエースである17歳の zekken はエントリー役ながらマップによってはソーヴァもこなす器用なプレイヤーで、敵チームに穴を作ってはチャンスを供給し続けるその果敢なプレイングはマスターズの敗戦時でも高いACSを誇った。
高身長の Syyko コーチのマフィア感はわれらが ZETA の XQQ コーチに勝るとも劣らず。このふたりのマッチアップの実現に期待がかかる。
XERXIA
foxz
sushiboys
sScary
Crws
Surf
Zeus (Coach)
XERXIA は APAC で Paper Rex に次ぐサーキットポイントを集めたタイのチーム。
昨年のチャンピオンズでプレイオフへの進出を果たして解散した X10 CRIT のロースターを、オーバーウォッチリーグに移籍した Patiphan 以外のメンバーと契約して結成されたのがこのチーム。新加入の Surf との連携力が足りなかったせいか、ステージ1、ステージ2ともにマスターズでは勝利を挙げることなく敗北。今年はアジア地域の躍進がめざましいなか XERXIA もその波に乗れるか要注目だ。
XERXIA は強気なポジショニングによるエリアコントロールを重視したプレイスタイルが特徴だ。特に、防衛時での敵を素早く囲い込む動きは XERXIA 独特といえるかもしれない。その要になるのが日本でもお馴染みの sushiboys で、ステージ2ではメタの変化にあわせたデュエリストのピックでファンを驚かせたが、彼の真骨頂と本来のプレイスタイルはセンチネルにある。スコアには表れない彼の情報取得能力の高さが XERXIA の強みだろう。また、チームのエースプレイヤーである Surf はステージ2初戦の FPX を相手に3マップを通して、ファーストブラッド18、成功率75%という優れた記録を残してそのポテンシャルの高さを示している。チャンピオンズでは大きな成長が予想されるチームのひとつだ。
タイのお国柄か、XERXIA はとにかくにこやかに喜びを発散しながらプレイする印象が強い。オフライン開催ゆえになにかと煽りや示威の声が飛び交うチャンピオンズにおいて XERXIA の試合は一服の清涼剤になる、かもしれない。
DRX
stax
Rb
Zest ★
BuZz
Mako
termi (Head Coach)
Argency (Coach)
glow (Coach)
DRX は韓国の王座に留まり続けている事実上の1強チーム。
今年のステージ1ではマスターズのグループステージで圧倒的な実力差を見せつけるもプレイオフでは OpTic と ZETA に敗れてベスト6に留まる。国内大会で1マップも落とすことなくマスターズ進出を決めたステージ2では、やはり十分な実力を示しながらもプレイオフで OpTic と FPX に連敗してまたもベスト6に留まり辛酸を舐めた。
おそらく日本のヴァロラントファンにもっとも馴染み深く、もっとも恐ろしいチームがこの DRX。ステージ1初戦では日本代表の ZETA を、ステージ2初戦ではおなじく Northeption を圧倒的なスコア差で粉砕したのは悪夢というほかなかった。凶悪なセットアップと堅実な立ち回り、豊富な阻害スキルで確実にラウンドをとる巧みな戦術で知られる。あえて選手個人に注目すると、Mako は世界のトップコントローラーのひとりに数えられ、Rb はあまりに気持ち悪い動きでのネオンのエントリーでマスターズの視聴者をわかせた。
そのメカニカルな動きから軍隊にたとえられがちな DRX だが、Stax は試合中の釘打ちのような台パンや激しいマウス操作によるコップの床への吹き飛ばしなどおちゃめな一面をよくワイプで抜かれている。悲願のベスト4進出と Stax のワイプ芸に注目が集まる。
FURIA Esports
qck
Khalil
Nozwerr ★
mazin
dgzin
Carlão (Coach)
Furia はブラジル出身の選手を中心としたチーム。
昨年のチャンピオンズはグループステージで敗退し、ブラジルのベストプレイヤーのひとりに数えられることもある Xand の移籍後はチームの不調が続きマスターズの出場は叶わなかった。今年のラストチャンスとなった LCQ 南アメリカでは決勝で KRÜ に敗北を喫するものの、敗者ブラケットで TBK Esports にストレート勝ちして最後の出場権を獲得した。
Furia の武器はまず dgzin のジェットだろう。比較的素直な攻め方を好み、個人の撃ち合いで解決することの多い Furia では dgzin の果敢なファースブラッドへの挑戦は試合を大きく左右する要素のひとつだ。また、幅広いピックプールを有するフレックスの mazin もフィジカルという点では頭ひとつ抜けている。そんな Furia を「巧い」プレイングで支えているのがイニシエーター役の nzr だろう。よく言われるように、チャンピオンズで勝ち上がるにはフィジカルお化けであることがなかば前提となる。自分たちと同等かそれ以上のエイマーたちからどうやってラウンド奪取を目指すかが Furia の課題になりそうだ。
ちなみにチャンピオンズの強面選手権があるとしたら僕は迷わず Furia に軍配を上げるだろう。
Fnatic
Boaster ★
Mistic
Derke
Enzo
Alfajer
mini (Head Coach)
slk (Coach)
marcus_askildsen (Coach)
Fnatic はみんな大好き Boaster が率いるいわずとしれた名門チーム。
ステージ2の EMEA 大会を1位通過した Fnatic は、マスターズのプレイオフ初戦で FPX を下したものの、2回戦目では今大会のダークホースとなった Paper Rex にまさかのストレート負け。多くの識者が Fnatic を優勝候補の筆頭に挙げていたが、敗者ブラケットでは SUYGETSU の合流で調子をあげてきた FPX に負けて惜しくもベスト4で姿を消すことになった。
エースプレイヤーの Derke と Alfajer のフィジカルの強さが印象に残りやすいチームだが、その圧倒的な強さは Mistic と Enzo の徹底したサポートと Boaster のオーダーの卓抜さに支えられてこそのもの。特に、ラウンド勝利にこだわった Enzo の撃ちあわない立ち回りのいやらしさと心臓の強さは世界中の視聴者を幾度も驚かせた。前回大会では予想を裏切る敗退となってしまったが、Enzo は今年の3月に、Alfajer は5月に契約したばかり。チャンピオンズまでの伸びしろの大きさを考慮すると今大会でも優勝候補の筆頭に挙げられるだろう。
ちなみに、8月はじめに日本の人気ストリーマーの SPYGEA が Fnatic との契約締結を発表した。チャンピオンズでは Boaster との勝利のケツ振りデュエットが期待される。
100 Thieves
Asuna
Derrek
Stellar
Will
bang
sgares (Head Coach)
Mikes (Coach)
100T は LCQ 北アメリカを敗者ブラケットから勝ち抜いた名門チーム。
100T が国際大会で最後に姿を見せたのは去年のマスターズ・ステージ3。プレイオフではおなじくアメリカ代表の Team Envy(現在の OpTic Gaming)に破れはしたものの、トップ4に残るという予想外の快挙を成し遂げた。しかし、その後は成績が低迷し、ファンやオーナーから批判を受けたチームは度重なるロースター変更を経てついに LCQ でチャンピオンズの切符を掴んだ。
去年のベスト4メンバーで今もロースターに残っているのはエースプレイヤーの Asuna ひとり。当時の Hiko や Steel を擁した年齢層の高い 100T において「最年少の Asuna が起きれば勝てる」とファンから自虐気味にいわれていた彼だが、今では最年少の座をコントローラーの Bang に譲り、ロールも KAY/O メインというややサポート寄りに変更してチームを安定したパフォーマンスで支えている(このへんの事情がよくミームになっているのを見かける)。Asuna 以外の注目プレイヤーを挙げるとしたらやはり Rise から加入したイニシエーター役の Derrek だろう。Hiko の魂が宿ったかのようなクラッチプレイの連続はチームを幾度となく救うとともに、100T の北米シーンでの存在感を数大会ぶりに押し上げた。
ちなみに 100T はグッチとコラボレーションした限定生産のバックパックを30万円で販売している。毎試合恒例の控え室入りのシーンで選手たちも身に付けているか注目だ(ほしい)。