オタク文化の衰退後に余計な御託はいらない。
彼らの心理分析をおこなう前に下地作りをしておこう。
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オタクの正体、オタク文化の終わりにぼっちの俺が本気出して考えてみた
――背中痛いから 今日モウ 帰ってイイ? 三十路でおない年のスリランカ人留学生にそう聞かれたとき、僕は思わずウッと唸り、彼の暗褐色の頬を殴りつけようとする右腕を慌てて抱えこんだ。 ――腰じゃなくて、背中? 僕はそうひとりごちた。
間奏.オタクの拡大――動画共有サービスと違法アップロード動画が下げたオタクの敷居
おたくの語はもともと前述の条件――非伝統的な大衆文化を好み、特定の分野に属する専門知識と繊細な趣味を非職業的にもつ――を満たすものの蔑称や自嘲的な自称として広まった経緯がある。
1988年の宮崎勤の幼女連続誘拐殺人事件では、彼がそういった人物だとマスメディアに広く喧伝されさらなる否定的な意味合いも付け加えられた。
もちろん、2020年を目前に生きる僕らはオタクから否定的なニュアンスが薄れ、むかしでは考えられないほど多くのひとたちがオタクを自認するようになったことを知っている。
個人的な経験でいえば、僕が大学に入った2000年代半ばのオタクたちはまだひそひそと隠れ、同好の士とわかった身内でのみおたがいの好みをあかして楽しんでいた。
しかし、その数年後には自己紹介でオタクを公言する新入生が現れはじめ、彼らのあけすけな態度に先輩オタクが顔を顰めるというおもしろい構図が生まれていた。
2011年には、東日本大震災の影響で放送を一時中断していた深夜アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の一面広告が読売新聞に掲載され、少なからぬひとが度肝を抜かれたことだろう。
Google Trends でオタクとその関連語の人気を調べてみよう。