批評にはためらいや懊悩が付きものだ。 言語という借りものでしか思考を現せない以上、1度表現してしまえばもう2度と自分の管理下にもどることはない。
脇役たちの生き様が輝く秀作、海外ドラマ『コロニー』批評的感想
子どもの頃の悪夢の切れ端がいまでも視界に映りこむように、何気なく観た映画のワンカットがあたまの片隅から離れなくなることはたぶん珍しいことじゃない。 ウイルスのように、数年間の潜伏のあとに僕の瞳を住処としだすのは日頃の行いが悪いからじゃない。 最近悩まされるのは、マッツ・ミケルセンの頬だ。それも、フェドラ帽で表情が隠れ、鳥肌のようにぶつぶつと脂汗が浮かんだ左の頬。たぶん、車の中だったはずだ。